No.187「ワルイシラセ(6回表)」
2024年11月15日
ピカと妻は東京大学農学部にいた。
家のすぐ近くの病院で紹介を受けた東京大学の動物医療センターで診察を受けるためである。
その前の日曜日に私と妻、ピカで東大へのルート確認をしていたため、あまり迷わずに着いたそうだ。
近くの病院で「肝臓が悪い」ニュアンスの説明は受けていたため、何かしらの療法、もしくは外科的な手術などで元気を取り戻してくれるであろう、と半ば楽観的な態度でいた私は妻に託して仕事をしていた。
午後一番で診察を終える予定だと聞いてはいたが、5時を過ぎてもラインがこない。こちらから入れてみる。
:どうだった?
:今車運転中。いろいろあって帰ってから話す
思ったよりも芳しくなさそうである。
家に帰った妻は、東京での車運転と、病状説明のショックで顔色が悪くなっていた。
初診での結果は 肝臓の数値が異常に高い(悪い)
麻酔をかけてエコー検査をしたところ
「右の肝臓がほぼない 左の肝臓も半分くらいしか見えない」肝臓は、表向き1つだが、血の流れなどの関係で機能的には2つに分かれているのだそうだ。これは人間も同じらしい。
この1つは既に壊死して動かない状態、もう1つでなんとか肝臓の機能を受け持っていたが、負担がかかり過ぎて肝不全を起こした、とのこと。
理由は「生体検査」をする事でわかるようになるが、麻酔は身体的に負担をかける事にもなるので、家族で持ち帰って会議をしてほしい我々夫婦は検査をするかどうか、悩んでいた。
次の日も悩んでいたが、昼過ぎ辺りになると、ピカが震え出した。
寒くて震えるというよりも、何かの反応で震えているのだとわかるほどだ。
確実に体は悪くなっていると実感できる。
ここまでのピカの病状の進み具合はあまりにも速すぎて何かを決断する事ができず、心だけが焦っていたのである。
何を決めるでもなく、ぶるぶると震えるピカを毛布で抱きしめながら心で
「どうすりゃいいんだ…」途方に暮れるのであった。
(6回裏へ続く)