No.190 病院の天井(7回裏)
吾輩はピカである。 この4日間 日本の最高学府に寝泊まりさせて頂いている。
トーチョン、カーチョンともにこのところ目にしていない。
トーチョンを見ないのはこの体調の悪い時にホッとするのだが、カーチョンまで来ないというのは気に食わん。
色々なおやつを持ってこさせたりしたいのだがな。.
..そういえば最近はあまり食べたいとはおもわないのが不思議なところだ。
そして、不思議と言えば何回か記憶がなくなっているのだ。
お腹が痛くなって苦しい時、寒くてぶるぶると震えているときに、白衣の人間がやってきてみょうちくりんな注射をする。
それからしばらくして気が付くといつも決まって病院の天井が見えるのだ。
病院の天井には変なシミがあり、起きるといつもそのシミがグルグルと回って吾輩に落ちてくる。
時には体があったかくなっているが、起きようとすると力が入らない。
そして時にはまだ寒くて震えてしまう事もある。
血の気があったりなかったり、摩訶不思議な気分である。
天井のシミは起きてからしばらくすると落ちてこなくなる。あの「白衣」はいったい何を私に施しているのだろうか?
そういえば聞いたことがある。
吾輩のような経験をしたニンゲンの事を。
たしか、そいつは悪の組織の「白衣」から手術を受けてバッタ人間にされてしまうのだ。
それでも悪を倒すために孤独に闘う。
私も「白衣」から改造を受けているのかもしれない。
いつも点滴で液体を体に入れられているのである。
「白衣」たちは何かを話している。まさか私に聞かれていようとは知らずに。
「元気な血液を入れてあげないと危ない状態ですね、誰の血にしましょうか?」
「同じ血液型だったら、キナコちゃんがいいんじゃないですか?」
ほう、キナコはここで飼われているゴールデンレトリバーではないか。
この前、会って話したことがある。なかなか気のいいやつだ。
彼女は「白衣」に何かを提供しているらしい…。
ここまで聞いて、吾輩はまたしても注射で気を失ってしまう。
薄れていく意識の中で必死に心に焼き付ける言葉。
「やめろ、ショッカー!」(笑)
(8回表に続く)