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社長コラム

予兆 〜2回裏〜

2025年2月 1日掲載

まだアスファルトが熱い10月の夕暮れ。
私はゴシュジンに引き回されている。
おそらく「トックン」と言われている、あれだ。

特訓とは、およそ6キロの道程を速足で散歩をするという荒行である。
なにか大きな勘違いをしているであろうゴシュジンが
自己達成感を得るために、私は巻き込まれているのだ。

こうなってしまった以上は仕方がない。
とにかくこの迷惑なイベントを少しでも早く終わらせることに
集中しよう。 ぐいぐいとゴシュジンを先導するように私は歩いた。
いや、走ったといってもよいだろう。 

大きな車、小さな車が列をなして動く広い道路に差し掛かる。
私は昔から車の通る地響きが嫌いだった。
おしりから出る臭い煙も苦手だった。
車のいななくけたたましい声は聞くのがしんどかった。
一度歩を止めると、なぜかその日は体が動かなくなってしまった。
疲れているのかもしれない。 頭がクラクラする。
薄暮の道路を行きかうヘッドライトがぐるぐると「ウルトラQのタイトル画面」
の様に回っている。 

ふと気づくと鼻の前におやつがぶら下がっている。
ゴシュジンが私の事を心配になったのだろう。
しかし、今の私は食べる気にならない。

さすがに、3歳ともなると疲れやすくなるのかもしれない。
今回の特訓は2キロで終了。
珍しくゴシュジンに抱っこをしてもらい、今回の特訓は終了となった。

その時はそう思った。 その後の事も知らずに...。
(3回表へ続く)

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