社長コラム
特訓 ?1回表?
2024年11月 1日掲載
なかなか「喉元を通らない暑さ」だったとはいえ
朝晩の風のおかげでようやく夏を忘れつつある感の10月。
私は愛犬と共に夜の散歩へ出かけた。
その晩は温度、湿度、風と非常にさわやかで
私は彼女(愛犬の事である)の散歩への意欲を
リード越しにビシビシと感じる事ができた。
「なるほど、今日は特訓の日だな」
うちの犬は今年で3歳になる。
元々運動量の多い犬種であることは承知していたが
子犬の頃、有り余るほどの体力に我々は度肝を抜かしたのだ。
そして、ある二文字が私の脳裏をよぎることになる。
「特訓」... 今では言葉の倉庫の奥の方にしまわれているであろうこの言葉。
特に今の子供たちの世代はネガティブなイメージをも持っているかもしれない。
だが、私達の年代以上の先輩方はこの言葉に不思議なパワーと魅力を感じるのだ。
苦しい特訓の向こう側に横たわる、甘美な何かを手に入れたいと熱望してしまう。
これは性癖と言ってもよいだろう。
こうして、若いころのピカ(愛犬の事である)と私はよく特訓を行った。
季節はまさに中秋の頃、散歩に2時間半。
およそ6キロの道程を2人で速足で歩くのが我々の特訓である。
その間、どちらかが音を上げたら特訓の終了となった。
大抵は人間たる私が白旗を掲げたのであるが。
今日は彼女の引く手綱に力を感じる。特訓を求めているのだ。
私は彼女を見て軽く頷いてから、こめかみに力を入れた。
久しぶりの特訓が、今始まろうとしている。
(1回裏へつづく)