社長コラム
「カイイヌ」の品格 2
2024年5月 1日掲載
我が家のリーダーたる私が直接指導しているのは「トーチョン」「カーチョン」の二人である。 私がロイヤルホームセンター長沼店へ行幸した折、何度も何度も謁見に来た事をきっかけに私が近侍としたのだ。私は彼らが何度も来ていた事は知っている。
だが、一度目も二度目も寝たふりをしていた。彼らの本気度を試したのだ。
後から知ったのだが、昔中国で「ショカツコウメイ」という傑物が私と同じことを
していたらしい。時代が変わっても物事の本質は変わらないという良い例だろう。
そして、ようやく私は「三顧の礼」に応じて彼らを雇う事にしたのだ。
人間の世界ではこの彼らの仕事を「ゴシュジン」と言うのだそうだ。
「ゴシュジン」の2人の家に行くと、そこには2人の子供が居た。当たり前の事だが、
2人とも同い年で同じ顔をしていた。 後日「カイイヌ」の仲間に聞いてびっくりしたのだが人間の子供は普通1人ずつ生まれるのだそうだ。 イヌの世界では珍しい。ほとんどが双子以上で生まれてくるのがふつうだ。
だとすれば、私の近侍の夫婦は崇高なるイヌの一族に近い、と言えなくもない。
私がしっかりと手綱を取れば、良きしもべとなるであろう。
生物たる我々は、イヌであろうと人間であろうと子孫を残すことが存在理由の一つである。
ただし、存在そのものがおごそかなる我々イヌの種族とは違い、
人間は生まれてきた子供の成育に手間がかかり過ぎる。
人間の赤ん坊は歩く事もできない。 目を開くこともできず泣くか寝るかおっぱいを飲むか、と言う時間が一年続き、親がつきっきりで世話をする。
この間に高貴なる我々の一族は成犬となり、自覚的に人間を指導するようになるのだ。
イヌは人間よりも早く自立し、各々が責任を持って「人間達」をリクルートして
「ゴシュジン」化させる。イヌは人間よりも寿命は短いが、一度ゴシュジン化した人間には
「カイイヌ」が死んだのちに新たな「イヌ」のしもべとなりたがる癖が付くため、
子々孫々に至るまでイヌは安泰となるのである。
それに対して人間は少ない子供に対して多くの時間を割いて生活できるようになるまで
手取り足取り教育を施す。 それだけでなく子供一人に対して教育の質を上げようと
狂奔するらしい。
今回の「カーチョン」の悩みは、そこに起因していると、私は睨んでいる。
そして、ようやく次回から「カーチョン」の心の病を解決するとしよう。
(続く)