社長コラム
バニラの因縁2 冷蔵庫での攻防
2023年3月 1日掲載
河野家の朝食にやってきた新顔、バニラヨーグルト。バニラという名前に顔色が
曇る私。 バニラとの長年の因縁が蘇る...。
私には姉が一人おりますが小さい頃、姉の食は細くおやつに出てくるスイーツや果物も
一度には食べられなかったのです。
そんな時、姉は決まって「食後に食べられるように」と大事に大事にラップでくるんで
冷蔵庫に入れるのでした。
健気な少女のお楽しみ。 冷蔵庫にスイーツを入れた姉の楽し気な背中。
破れた障子の穴から目を光らせる黒い影がそれを見て怪しげに揺れるのでした。
河野さんの家にはたくさんの人間が出入りしていました。 よって、誰かが冷蔵庫に近づくと他の誰かが見ています。 そんな衆人監視の状況でありましたが、
時たま夕食後に絹を引き裂いたような声がするのでした。
「私のどら焼きがなくなってるー!!」
となりに肥った弟の姿はなく、
破れた障子の穴からうっすら目が光るのでした。
それが何回か続いたのち、冷蔵庫に保存されたおやつのラップには「姉」という文字が
記されるようになります。どうやら、弟である私が下手人であると姉は考えたようです。
実際の話、犯人は私でありました。ラップに「姉」と書かれた時は、狼狽しましたが
そんな時に私は「強行突破」という行動に出ました。
「そんなことをしても無駄ですよ」という意思表示をさせて頂いたのです。
自分としては、ルパン三世が銭形警部に残した華麗なるメッセージのつもりでした。
それが何回か続いた後に姉は最終手段に出ます。母への密告です。
何をしても聞かない太っちょの弟の所業を、あらいざらい時たま涙を交えて
熱弁をふるったのです。
それにより私は何度か母に怒られましたが、私は行動を変えることはありませんでした。
すると、姉の行動が変わり始めたのです。
そこにようやく「バニラ」が登場することになります。 さて、バニラの因縁とは...?
(続く)