社長コラム
ウルトラマンと菩薩
2022年6月 1日掲載
昭和49年 私は2歳にして保育園に通い始めました。
もちろんはっきりとした記憶はないものの、登所の際、母の自転車の後ろに乗っている時の憂鬱さや、親と離れる時に号泣した事は何となく覚えているものです。
そんな私の保育所時代を支えてくれていたのが、ご飯と、おやつと、お迎えの時間まで見れるテレビで放送されている番組でした。
「むねぇにぃ? つけ?てるぅ ま?くは りゅ?せぇ」
TBSで再放送されていた「ウルトラマン」。
並み居る怪獣を相手に、肉体一つで戦い、派手な必殺技で倒す。3分というハンデを
背負いながらも見事に地球を守る宇宙人のヒーローに小さかった私は魅了されたのです。
地球だけでなく、保育所生活をも守ってくれたウルトラマン。
体のどこかに染み付いた彼への愛着は、今も抜け出るものではありません。
たまにネットで情報検索するのですが、そんな中「勉強になるなあ」と感心したのが
「ウルトラマンのモチーフは弥勒菩薩である」という話。
菩薩様の口元に浮かんだ微笑は、「アルカイックスマイル」と言い、それを
ウルトラマンの表情に取り入れたのだと、美術スタッフが述べているのです。
確かに、ウルトラマンの表情はシンプルにして口元だけが少し笑っています。
しかしそれだけでしょうか。
弥勒菩薩は釈迦が死んだのち56億7000万年後に衆生を救済してくれる存在。
ウルトラマンは故郷でもない地球を守り、人類を救済してくれる存在。
弥勒菩薩は浄土からやってくる存在。ウルトラマンは光の国からくる存在。
こう考えると造形だけで弥勒菩薩とウルトラマンを似せたとは思えない何かを
感じます。 保育所時代に私も救済されているので間違いありません(笑)。
そんな彼が、こんな世界状況の今「シン・ウルトラマン」として映画館にやって
きたのは、何かの偶然でしょうか。人類を守る彼は、人類同士の戦いで核兵器が
使われるかもしれない今の世をどう感じているのでしょう?
これを考えてしまう事自体が「他力本願」なのでしょうかねぇ。